[短篇集]きみが忘れたむらさきへ。
たとえば
僕らが点と点で結ばれた、夜空に埋め込まれた星の様になれたのなら。
それで、良かったのに。
それが、良かったのに。
手を引いて、手を引かれて。
誰もいない世界へ、何もない世界へ行きたかった。
『僕ら2人、ずっと一緒にいられたら』
そんな事は望まない。
ガラクタの中で、壊れた玩具箱の中で
君と2人、骨になっても傍にいられるのなら、それが幸せだった。
世界に弾かれた僕が、それでも世界でしか生きられないというのなら
君を連れて、足が綻ぶまで、息が捩れるまで、走れば良かった。
君を連れて逃げ出せば、辿りついた先がどこだって、きっと生きていられた。