[短篇集]きみが忘れたむらさきへ。


傷付き傷付く事で、関係はより深まっていくという。


傷ついて、傷つけて、その程度で離れてしまうのであればこちらから願い下げだと言えたのならいいのだけれど。

わたしは盲目的な恋をしていた。それもタチが悪い、一方的な恋を。


別れたいならそうしよう。縛るのなら、貴女とはもう会わない。


理想は現実と程遠かった。

理想なんて精々描いて歪んで、それでも描いていたからこそ今の自分があるのだと、明るく捻くれるくらいの事が出来なければ、脆い悪夢にしかならない。


わかっていた。わかりたくない深層まで、分かりきってしまっていた。

たとえばこの恋の行方とか、わたしの想いの行き場とか。


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