甘党バレンタイン
朝ごはんも食べる気がしなくて、ベッドにふて寝する。
高3だけど、行く大学も決まったから勉強する必要も無いし、残りの高校生活楽しむだけだ。
なのに、こんなんじゃ全然楽しくない。
今年のバレンタインは、付き合って2年目に突入するってだけじゃなくて、日曜日だから、拓実と会うのも喋るのも、学校の女子達にも邪魔されない。
僕だけの拓実の時間になるせっかくのチャンスの年なんだ。
それに今年は……
学校が別々になる年。
そう思うと、また涙が滲んできて、誤魔化すように枕に顔を埋めた。
「会いたいよ、拓実」
なんて、女々しいよな。
拓実と付き合ってから、年々中身が女みたいになってる気がする。
せめて、一人称は“俺”に変えようかな…
そんなことを考えているうちに、また眠りについていた。