甘党バレンタイン
「ん……ふぁ……」
再び目が覚めてスマホを見ると昼の1時。
二度寝の割によく寝たな。
はぁ、お腹空いた。
そういえば朝から何も食べてない。
そう思って部屋から出て階段を下り、キッチンへと行く。
当然ながら、1階には誰も居ない。
ダイニングのテーブルには、
『チンして食べてね♪』
と、母さんの妙に丸っこい字で書かれたメモ書きと、ケチャップで大きくハートが書かれたオムライスがあった。
「愛が…重い」
とりあえず、レンジに入れて、何分温めるか考えていたが、考えるのもめんどくさくなって、適当に温めボタンを押した。
……はぁ、拓実が居たらな…。
たった2人で家に居るとか初めてだし、そのために部屋も掃除したし。
いっぱいいろんな準備もしたのに。
うじうじとまた拓実のことを考えていると、ピーッピーッピーッと電子レンジが鳴る。
考えたって仕方ない。
今度また、2人っきりの時だってあるよ。
俺は考えることを辞めて、ぷつぷつと穴の空いてしまったオムライスを口に運んだ。