狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~
声明に隠された目論見
"私が動くのもスカーレットの為ではない。女神一族の行く末を悲観しての事だ"
そう言うキュリオの言葉には若干刺がある。
それはまるでアオイの気をスカーレットに向けさせないための銀の杭のように鋭い。
"…っ!じゃあ…っ…"
キュリオの声に弾かれたように顔を上げたアオイ。先程まで哀愁に満ちた顔で項垂れていた花とは思えない程キラキラした笑みを咲かせている。
と同時に銀髪の王の眉が不機嫌そうに寄せられ…
(…なぜ私が苛立つ…)
悠久をより良い国にするためにも、これまで触れていなかった部分にキュリオが目を向けるのも大事なことだ。
そして…いくら彼女らの始祖が尊敬されるべきであった行いをしていても、その子孫が血筋であることに驕(おご)れ、与えられた地位を利用し低俗な行動に出ている今…
(…剥奪が妥当だが、スカーレットのようにまともな者もいる…)
連帯責任といえば簡単に片付いてしまうが、今回の声明はわずかに与えられた猶予とも…女神一族の堕落した部分を一気に曝け出す事にも繋がる。
万が一、後者のような事態になればキュリオは迷う事なく"女神"の称号を剥奪するつもりなのだ。
(結局、いつもアオイに反対されて終わるが…私の考えが極端なのだろうか…)
"……"
嬉しそうに笑みを向ける愛らしい少女を見つめながら苛立つを募らせるキュリオは自分の異変に気づかないのだった―――。