狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~
解けなかったリボンの謎
「だからそうやって現れんのやめろって言ってるだろ」
床から沸いて出た"死神"を見るなり、そうぼやいたヴァンパイアの王。彼は不貞腐れたように冷えたアップルパイを乱暴に口へと放り込む。
「……まるで玩具をとられた幼子のようだな」
「玩具じゃねぇよ……わかってて悠久連れてったんだろ? って……なんでそっち(仕事用)のマダラなんだよ」
「…………」
「……何黙ってんだよ」
「もうひとりの私には弱点があるらしい。……それだけの事だ」
「……マジかよ? 元は人間だってわかっててもか?」
「今の状況から理解しろ。……首輪は迷惑そうだったが花は気に入っていたようだ」
――悠久に帰りたいと言うわりに、どこか名残惜しそうに部屋を見返す子猫。
『ティーダが戻ってくるぞ』
『……っ!』
その言葉を耳にした子猫は急いで室内へ走り、口に何かをくわえて足元へ戻ってきた。
『……あ、あの……っ! このお花、ここに挿していただけませんか……っ』
『…………』
(やつには似つかわしくない花だな……)
どう見てもティーダの趣味ではなさそうな華凜な花を拾い上げると、マダラは言われた通り首元のリボンにそれを通した――。
決してあの猫がリボンのことを言ったわけではないが、年下の王を……特にティーダをからかうのが好きなマダラの口は、適度な毒を今日も元気に吐いている。
床から沸いて出た"死神"を見るなり、そうぼやいたヴァンパイアの王。彼は不貞腐れたように冷えたアップルパイを乱暴に口へと放り込む。
「……まるで玩具をとられた幼子のようだな」
「玩具じゃねぇよ……わかってて悠久連れてったんだろ? って……なんでそっち(仕事用)のマダラなんだよ」
「…………」
「……何黙ってんだよ」
「もうひとりの私には弱点があるらしい。……それだけの事だ」
「……マジかよ? 元は人間だってわかっててもか?」
「今の状況から理解しろ。……首輪は迷惑そうだったが花は気に入っていたようだ」
――悠久に帰りたいと言うわりに、どこか名残惜しそうに部屋を見返す子猫。
『ティーダが戻ってくるぞ』
『……っ!』
その言葉を耳にした子猫は急いで室内へ走り、口に何かをくわえて足元へ戻ってきた。
『……あ、あの……っ! このお花、ここに挿していただけませんか……っ』
『…………』
(やつには似つかわしくない花だな……)
どう見てもティーダの趣味ではなさそうな華凜な花を拾い上げると、マダラは言われた通り首元のリボンにそれを通した――。
決してあの猫がリボンのことを言ったわけではないが、年下の王を……特にティーダをからかうのが好きなマダラの口は、適度な毒を今日も元気に吐いている。