狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~
キュリオの観察力②
「……お父様?」
(うそ……もうバレた? まさか、そんなわけ……)
アオイの意志とは無関係に冷たい汗がその背を流れていく。
『姫様ファイトです! どうぞキュリオ様にお手渡しくださいませ!!』
小声で声援を送る女官にアオイはこくりと頷く。
「お、お口に合うかどうかはわかりませんが……」
わずかに頬を明らめたアオイ。
そして両手で大事そうに差し出された小箱だったが、キュリオの興味は他にあった。
「……アオイ、その手の傷は?」
「……っ!!」
まさかそんなところを見られているとは思わずにアオイは弾かれたように顔を上げた。
「これはっ! 部屋に飾ろうとした花を切った時にナイフで……!」
「ナイフの傷ではないだろう」
誰がどう見てもアオイのそれは切り傷ではない。小さく血の滲んだ刺し傷や、薄皮をなぞるかすり傷にも似たものがいくつも見受けられる。
「えっ!?」
いよいよキュリオの探る視線がアオイの瞳の奥へと狙いを定めたようだ。
それからの彼は、まるで砂のオブジェに隠された宝石を探すように、いとも簡単にアオイの核心へと迫っていく。
「大丈夫ですっ! なんでもないんです! もう一週間も前の傷ですからっっ!!」
「…………」
(その程度の傷、湯殿に入れば治るというものを……)
アオイの苦し紛れの言い訳がここでも炸裂するが、見事に的を外しているためキュリオの疑問はやがてひとつの仮説を立て始めた。
(うそ……もうバレた? まさか、そんなわけ……)
アオイの意志とは無関係に冷たい汗がその背を流れていく。
『姫様ファイトです! どうぞキュリオ様にお手渡しくださいませ!!』
小声で声援を送る女官にアオイはこくりと頷く。
「お、お口に合うかどうかはわかりませんが……」
わずかに頬を明らめたアオイ。
そして両手で大事そうに差し出された小箱だったが、キュリオの興味は他にあった。
「……アオイ、その手の傷は?」
「……っ!!」
まさかそんなところを見られているとは思わずにアオイは弾かれたように顔を上げた。
「これはっ! 部屋に飾ろうとした花を切った時にナイフで……!」
「ナイフの傷ではないだろう」
誰がどう見てもアオイのそれは切り傷ではない。小さく血の滲んだ刺し傷や、薄皮をなぞるかすり傷にも似たものがいくつも見受けられる。
「えっ!?」
いよいよキュリオの探る視線がアオイの瞳の奥へと狙いを定めたようだ。
それからの彼は、まるで砂のオブジェに隠された宝石を探すように、いとも簡単にアオイの核心へと迫っていく。
「大丈夫ですっ! なんでもないんです! もう一週間も前の傷ですからっっ!!」
「…………」
(その程度の傷、湯殿に入れば治るというものを……)
アオイの苦し紛れの言い訳がここでも炸裂するが、見事に的を外しているためキュリオの疑問はやがてひとつの仮説を立て始めた。