狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~
悠久城の大運動会編
「おーっほっほっほっほっ!!」
「毎日のお洗濯!雑巾がけで鍛えたこの腕と足腰に勝てるものはいなくってよ!!」
ひとりの女官が長いワンピースの裾をたくし上げると、逞(たくま)しい脹脛(ふくらはぎ)をチラリと見せつけながら年若い侍女の群れの中を爆走していく。
そして彼女の額に巻かれているのは白いハチマキ。
「…ふむ。なかなか健康的で良いが…」
砂埃を巻き上げて中庭を駆けてゆく彼女らの姿にキュリオは些か圧倒されているようである。
そして彼の隣では…
「皆頑張っていますねっ!私はこの次のグループなんです!そろそろ準備しないと!!」
アオイは興奮に腰を浮かせながらポケットにしまっていた赤いハチマキを取り出し、額にそえながら後頭部できつく結ぶ。
一際立派な銀の椅子が二脚。
もちろんこれは王であるキュリオとアオイにと用意されたものである。
穏やかな日差しが心地良い、今日も平和な悠久の城では…
城に従事する者たちのストレス解消のためにと開催された運動会のようなものが開かれていた。
その話を聞いたアオイはとても大喜びし、憧れていた運動会についての資料を読み漁っては色々なものを準備した。
『いくつかの組に分かれてハチマキを用意しましょう!!』
『総合、個人と別れて点数をつけて…優勝した際には何かご褒美をあげるというのは!?』
『もちろん魔術、剣術はナシ!女官や侍女たちにも参加してもらいたいもの!!』
そしてアオイは一般的な運動会の挿絵と同じように地面に座ろうと考えていたのだが…どうしてもそれだけは許してもらえず、こうしてキュリオと共に椅子に座るはめになってしまったのである。