狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~
不自然な組み合わせ
唇を離し、甘い余韻も冷めやらぬ間に慌てふためいたアオイ。
「……わ、わたし行かなきゃっ!」
勢いよく踵返した真っ赤なアオイを引き止めるように腕を掴んだスカーレット。
「なら一緒に行こうか」
艶っぽく笑った彼女はまだまだアオイ手放す気はないらしい。
しかし、扉を出てすぐの所で……とある人物に出くわした。
「ブラスト?」
(俺たちを見つけるのがやけに早いな…)
わかに眉をひそめたスカーレットは歩調を緩め、アオイの腕を離さぬままブラストを迎い入れる。
「スカーレット殿が迷われているのではないかと思いましてな!!」
「…それだけじゃないだろ?」
スカーレットの疑いの眼差しがブラストから後方にいるアオイへと向けられる。
「……?」
「……っ!!」
スカーレットと視線の絡んだアオイは一瞬疑問の色を浮かべるが、次の瞬間…飛び上がるように顔を赤らめて恥ずかしそうに俯いてしまった。
「……」
(ブラストが突然現れた理由は…アオイも知らないみたいだな)
「次の競技はパン食い競争ですぞ!!第一走者にスカーレット殿が選ばれておりましたのでお早くお並び下さいっ!!」
「…俺が?」
「そうです!青組の第一走者はキュリオ様でございますっっ!!」
「……」
(パン食い競争っていうのは気に入らないが…順位をはっきりさせるなら直接対決は本望だ)
「スタートは向こうか」
「はいっ!ご健闘をお祈りいたしますっ!!」
相変わらず熱いブラストの声に推されたスカーレットは、ようやくアオイの細腕を掴んでいた手を離した。
「アオイ、応援よろしくな」
「はっ、い…!」
肩越しに振り返ったスカーレットの声に顔を上げたアオイは、温もりの残る腕にそっと手を這わせながらその背中を見送る。
「スカーレットさんとお父様が第一走者……」
元からの参加者ではないスカーレットが第一走者となるなど、どう考えても組み合わせを変更したに違いなかった。確かに、実力が近しい者たちが同じグループに入る事は大いにあり得るのだが…違和感が拭えない。
「アオイ様」
「うん?」
「お二人がしばらく会場から姿を消していた事をキュリオ様はとっくにご存じです」
先ほどのブラストとは程遠い…彼の険しい表情が事の重大さを物語っていた―――。
「……わ、わたし行かなきゃっ!」
勢いよく踵返した真っ赤なアオイを引き止めるように腕を掴んだスカーレット。
「なら一緒に行こうか」
艶っぽく笑った彼女はまだまだアオイ手放す気はないらしい。
しかし、扉を出てすぐの所で……とある人物に出くわした。
「ブラスト?」
(俺たちを見つけるのがやけに早いな…)
わかに眉をひそめたスカーレットは歩調を緩め、アオイの腕を離さぬままブラストを迎い入れる。
「スカーレット殿が迷われているのではないかと思いましてな!!」
「…それだけじゃないだろ?」
スカーレットの疑いの眼差しがブラストから後方にいるアオイへと向けられる。
「……?」
「……っ!!」
スカーレットと視線の絡んだアオイは一瞬疑問の色を浮かべるが、次の瞬間…飛び上がるように顔を赤らめて恥ずかしそうに俯いてしまった。
「……」
(ブラストが突然現れた理由は…アオイも知らないみたいだな)
「次の競技はパン食い競争ですぞ!!第一走者にスカーレット殿が選ばれておりましたのでお早くお並び下さいっ!!」
「…俺が?」
「そうです!青組の第一走者はキュリオ様でございますっっ!!」
「……」
(パン食い競争っていうのは気に入らないが…順位をはっきりさせるなら直接対決は本望だ)
「スタートは向こうか」
「はいっ!ご健闘をお祈りいたしますっ!!」
相変わらず熱いブラストの声に推されたスカーレットは、ようやくアオイの細腕を掴んでいた手を離した。
「アオイ、応援よろしくな」
「はっ、い…!」
肩越しに振り返ったスカーレットの声に顔を上げたアオイは、温もりの残る腕にそっと手を這わせながらその背中を見送る。
「スカーレットさんとお父様が第一走者……」
元からの参加者ではないスカーレットが第一走者となるなど、どう考えても組み合わせを変更したに違いなかった。確かに、実力が近しい者たちが同じグループに入る事は大いにあり得るのだが…違和感が拭えない。
「アオイ様」
「うん?」
「お二人がしばらく会場から姿を消していた事をキュリオ様はとっくにご存じです」
先ほどのブラストとは程遠い…彼の険しい表情が事の重大さを物語っていた―――。