狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~

スカーレットを苦しめるものⅡ

「私はそんな事気にしていません。むしろスカーレットさんがウィスタリアさんの"弟"さんだったことに驚きました」


アオイは敢えて"弟"という言葉に力を入れて話した。
するとスカーレットは驚いたようにアオイを見つめ、すぐに自嘲気味た薄笑いを浮かべる。


「そればっかりは…俺の口から言いたかったな」


「隠す必要…ないじゃないですか」


そこまで言って、アオイの脳裏をブラストの言葉が蘇る。




"スカーレットさんが…男性?"


"はい。代々…女神一族の直系は女性しか生まれないはずなんです。しかし、極稀に男が生まれると一族の質を落とすと忌み嫌われて…"


"…じゃあスカーレットさんは一族のために女性に成りすましているっていうこと?"


"そうですね…ご自身の意志を聞かれた事はないとおっしゃっておりました。その事はキュリオ様もご存じで、羽目を外せるようにと人の目のないこの城への出入りを許可して下さっておいでです"


"…男性が誕生したから一族の質を落とすだなんて、そんなの思い込みでしょ?誰かを犠牲にしても名誉を守りたいだなんて…"


"キュリオ様もそのような話は馬鹿げていると常々おっしゃっております。ですが、創世紀より続いた女神一族の鉄則のようなものがそうさせているようで…"


"(…お父様が女神の称号を剥奪なさりたいという考え、やっとわかった気がする…創世時代の女神様たちとはもう根本的に違うんだ)"



「そうは言っても生まれた家の決まりだ。俺にはどうしようもない。それよりウィスタリアに怪我を負わされた時って、アオイは赤ん坊じゃなかったのか?痛かったろ、本当にごめんな…」


またも話がアオイへと向けられるとスカーレットは苦しそうな顔を見せた。


「私はなんともないです。スカーレットさん…あまり色々なことに囚われないで下さい」


「……」


「…過去に囚われて、未来までもが決まってしまうなんて悲しすぎます。スカーレットさんの人生は誰にも縛る権利はないのですから…!」




「じゃあお前は…?」




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