アバターの恋
由香は最初に会った。パトカーの中を思い出す。見るからに刑事と言う顔ではなく少し長めの髪に高級バーのマスターのように優しくキリッとした目をしていた。
声は、声帯が一つ一の震えているような張りがある声を思い出す。
耳の横であの声に囁かれると由香は、もうダメになる。
磯山先生は冷たく、忙しくて会わせてくれないと言っている。
「どうにかして逢いたい!」
拘置所の中にいるからなかなか会えない。
メールもできない。
「そうだ!手紙なら読んでもらえる」
由香は涙を拭いて、ベッドからパソコンに向かって文章を打ち込んだ。