アバターの恋

由香はまだ下を向いて泣いている。

「由香ちゃん。明日買い物に行こうか。由香ちゃん寝てたから覚えてないと思うけど。先生、約束したんだ。渋谷で服を沢山買ってあげるって言ったんだ」

「覚えてるよ……。夢の中で先生が、彼氏がいないとか、服買いに行こうねとか言ってたよ」

磯山は驚いて由香の方を向いた。警察病院の事を覚えていたのだ。
磯山は慌てず。
「明日行こうね」

由香は涙をハンカチでぬぐって、
「うん」と言った。

由香が石井の方を向いて、
「刑事さん、いつ出られるの？」

石井は困った。まだ裁判も始まったばっかりだ。すぐに出られない。

「そうだなぁ。外は暑そうだから、もう少しここでゆっくりして年末に出ようかな」

「年末か？長いなー。……じゃー三人で年越しよーよ」

由香は少し元気を取り戻した。

「うん。いいよ」

「それでは私が下手な料理を披露するか！」

「イヤーン先生の料理食べるの。先生、チンでしか作れないじゃん」

「コラー！ばらすな」

「ハハハ……」
石井は腹の底から笑った。

「先生、忙しすぎて料理作る暇ないでしょう。料理は私が作るね」

「それは楽しみだ。」