アバターの恋
磯山は拘置所を出てからタクシーをとめて、由香と乗った。

「先生ごめんね。せっかくの面会を台無しにしてしまって……」

「いいのよ。何度も行く機会がありますから」

「だけど石井刑事はカッコいいね。彼女いるのかな?」

磯山はドキッとした。拘置所を出れば二人は付き合う事になっている。磯山の気持ちは、もう付き合ってるも同然だ。石井に気持ちが総て向かっている。この気持ちを押さえる事など不可能。

「そう言う話はしないから、分かんないな?」

「由香、刑事さんに恋したかもしれない。お腹の辺りがキュンとなっちゃった。先生これってなんなの?」

由香は完全に石井に恋をしている。腹の辺りのキュンは子宮が動いたのだ。体が石井に反応しているのだ。磯山は困った。自分もキュンしたとは到底言えない。精神が不安定な時に正直に言えばどうなるか分からない。どうしたらいい……。
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