傷つけたくない 抱きしめたい
「……なんかよくわかんないけど、行こうか」
梨花ちゃんは首をひねりながら私に言った。
私も不思議に思いつつ、二人を追いかける。
坂道は続く。
途中、分かれ道が二度あった。
でも、雪夜くんは迷いなく進んでいく。
道はどんどん細くなって、もう車一台通るのがやっと、という道幅になった。
そのうち、土が剥き出しになっていた地面が砂利道に変わった。
みんなの靴が砂利を踏みしめる音と蝉の声が混じりあう。
いつの間にか陽射しは強くなり、うっすらと汗ばむほどの気温になっていた。
長い上り坂と暑さに少し疲れてきて、俯きながら歩く。
ふと視界の明るさが変わった気がして、私は目を上げた。
その瞬間、思わず息を呑む。
大きく折れ曲がって左へとさらに上っていく道、そして右手には開けた場所があった。
明るい緑の芝生と、その真ん中を通る砂利道。
その先には、古びた小さな教会があった。
細い三角形の屋根と、灰色に色褪せた外壁。
二階建ての一軒家と変わらない大きさだ。
「……こんなところに、本当に教会なんてあったんだ」
隣の梨花ちゃんが独り言のように呟いた。
「知らなかったな」と嵐くんが答えるよう言う。
雪夜くんを見ると、無表情に黙ったまま教会の屋根を見上げていた。
それからゆっくりと振り返る。
視線が一瞬、絡み合った。
でも雪夜くんはすぐに前に向き直る。
梨花ちゃんは首をひねりながら私に言った。
私も不思議に思いつつ、二人を追いかける。
坂道は続く。
途中、分かれ道が二度あった。
でも、雪夜くんは迷いなく進んでいく。
道はどんどん細くなって、もう車一台通るのがやっと、という道幅になった。
そのうち、土が剥き出しになっていた地面が砂利道に変わった。
みんなの靴が砂利を踏みしめる音と蝉の声が混じりあう。
いつの間にか陽射しは強くなり、うっすらと汗ばむほどの気温になっていた。
長い上り坂と暑さに少し疲れてきて、俯きながら歩く。
ふと視界の明るさが変わった気がして、私は目を上げた。
その瞬間、思わず息を呑む。
大きく折れ曲がって左へとさらに上っていく道、そして右手には開けた場所があった。
明るい緑の芝生と、その真ん中を通る砂利道。
その先には、古びた小さな教会があった。
細い三角形の屋根と、灰色に色褪せた外壁。
二階建ての一軒家と変わらない大きさだ。
「……こんなところに、本当に教会なんてあったんだ」
隣の梨花ちゃんが独り言のように呟いた。
「知らなかったな」と嵐くんが答えるよう言う。
雪夜くんを見ると、無表情に黙ったまま教会の屋根を見上げていた。
それからゆっくりと振り返る。
視線が一瞬、絡み合った。
でも雪夜くんはすぐに前に向き直る。