七生報国
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私が筋肉トレーニングを始めたのは高校一年で、いまは高校三年なので、二年間と少しやっていることになるのです。私がトレーニングを始めた時の身体は、胸から腹まで直線で繋がり、なんの美しさもない貧弱なものでした。ですが二年間以上もやりますと、はちきれそうな肉、身体に稲妻のようにはしっている血管、女では到底手に入れられない体を手に入れることが出来ました。そして、この身体、肉体美を見るたびに私が男であることをかみしめ安心し、私は高揚するのです。分かるだろうか、私の喜びが! この自らによって、男であることを確立していく喜びを!
しかし、やはり分からないものがいるのだ。私は、理解できない者を知っている。隣のクラスのAという男は、むしろ私の考えを軽蔑していた。Aの身体はというと、うっすらと浮き出た腹筋があるだけで、やせ細り、貧弱な身体であった。これは私との比較というわけでなく、広く見ても、彼の体は脆い。ですが彼は、それを誇るのです。Aとは、友人の友人として知り合ったのですが、初めて会った時から彼は私を見透かしたような目で、半笑いを浮かべた。私の人間性や存在を笑っているようなAに怒り、口惜しさでたまらなかった。ここに、なぜだなんて私を止めるものは、ありませんでした。人の名前さえ憶えにくい私でも、Aを忘れることが出来なかった。もちろん私はAに関しては、そのことだけを気にしており、彼の人間として、男としての魅力など感じていないのである。そして出来れば、彼の無礼や思考を完全に否定し、彼の上から鼻で笑ってやりたくて仕方がなかった。しかし私という人間は他人に対して、怒りを爆発させることが出来ない人間でなのです。自分の存在を否定するようなことには、否定してやらねばならないはずである。一人の男としてだけでなく、人間としても。
しかし、やはり分からないものがいるのだ。私は、理解できない者を知っている。隣のクラスのAという男は、むしろ私の考えを軽蔑していた。Aの身体はというと、うっすらと浮き出た腹筋があるだけで、やせ細り、貧弱な身体であった。これは私との比較というわけでなく、広く見ても、彼の体は脆い。ですが彼は、それを誇るのです。Aとは、友人の友人として知り合ったのですが、初めて会った時から彼は私を見透かしたような目で、半笑いを浮かべた。私の人間性や存在を笑っているようなAに怒り、口惜しさでたまらなかった。ここに、なぜだなんて私を止めるものは、ありませんでした。人の名前さえ憶えにくい私でも、Aを忘れることが出来なかった。もちろん私はAに関しては、そのことだけを気にしており、彼の人間として、男としての魅力など感じていないのである。そして出来れば、彼の無礼や思考を完全に否定し、彼の上から鼻で笑ってやりたくて仕方がなかった。しかし私という人間は他人に対して、怒りを爆発させることが出来ない人間でなのです。自分の存在を否定するようなことには、否定してやらねばならないはずである。一人の男としてだけでなく、人間としても。