29歳、処女。
LESSON 1
LESSON 1
Let's begin our lesson.
*
「最近さあ………レスなんだよね」
会社の飲み会の真っ最中。
隣に座った同期の柏木さんが物憂げな顔で放った言葉に、私は首を傾げた。
「え? れす?」
すぐには意味が分からなかったのだ。
訊き返すと、柏木さんはビールのジョッキをぐいっとあおり、「だから、彼氏と!」と眉をひそめて答える。
「え………彼氏さんと? れす?」
「セックスレス!」
わりと大きめの声で堂々と言われて、思わず梅酒を噴きそうになってしまった。
慌てて口を押さえる。
柏木さんが「ちょっと、大丈夫? 高梨さん」と背中をさすってくれた。
「そ………そうなんだ」
どうコメントすべきか分からなくて、我ながら間抜けな返事をしてしまう。
「そうなの。彼氏がさ、なんていうの、淡白? 最初からあんまりやらなかったんだけど、最近特にね」
「へえ……」
「普通に友達みたいに出かけたりするだけで満足とか、付き合いが長いからお前のこと女として見れないとか言うんだよ? ひどくない?」
「それはひどい、ね」
「しかもさ、ホテル行くのめんどくさいとか言って、もう三ヶ月以上エッチしてないんだよ! どう思う!?」
また噴きそうになる。
いくら酔っているとはいえ、周りに人がいる状況で、そんな赤裸々な単語を口にするなんて。
動揺をこらえて、私は「んー、どうなんだろ」となんとか、適当な相づちをうつ。
Let's begin our lesson.
*
「最近さあ………レスなんだよね」
会社の飲み会の真っ最中。
隣に座った同期の柏木さんが物憂げな顔で放った言葉に、私は首を傾げた。
「え? れす?」
すぐには意味が分からなかったのだ。
訊き返すと、柏木さんはビールのジョッキをぐいっとあおり、「だから、彼氏と!」と眉をひそめて答える。
「え………彼氏さんと? れす?」
「セックスレス!」
わりと大きめの声で堂々と言われて、思わず梅酒を噴きそうになってしまった。
慌てて口を押さえる。
柏木さんが「ちょっと、大丈夫? 高梨さん」と背中をさすってくれた。
「そ………そうなんだ」
どうコメントすべきか分からなくて、我ながら間抜けな返事をしてしまう。
「そうなの。彼氏がさ、なんていうの、淡白? 最初からあんまりやらなかったんだけど、最近特にね」
「へえ……」
「普通に友達みたいに出かけたりするだけで満足とか、付き合いが長いからお前のこと女として見れないとか言うんだよ? ひどくない?」
「それはひどい、ね」
「しかもさ、ホテル行くのめんどくさいとか言って、もう三ヶ月以上エッチしてないんだよ! どう思う!?」
また噴きそうになる。
いくら酔っているとはいえ、周りに人がいる状況で、そんな赤裸々な単語を口にするなんて。
動揺をこらえて、私は「んー、どうなんだろ」となんとか、適当な相づちをうつ。
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