29歳、処女。
「おい雛子、ぼうっとしてんな。食え食え、話は後だ。メシはあったかいうちに食わないとな」
喜多嶋さんはそう言って、海老のアヒージョを美味しそうに頬ばった。
マイペースなひとだ。
そういえば、今日のこの約束をとりつけてきたときも、すごくマイペースだった。
朝、出社してすぐに私の首根っこをつかみ、休憩室まで強制連行して、
『今晩、空いてるか? じゃ、メシ食いに行くぞ』
と一方的に言ってきたのだ。
たしかに夜に予定はなかったけど、いきなり夕食に誘われたって、困る。
こっちにも心の準備ってものがあるのだ。
でも、喜多嶋さんの言葉に逆らえるはずもなく、私は二つ返事で了承して、大慌てで仕事を終わらせて、
喜多嶋さんが指定してきたこの店にやって来たのだった。
それなのに、時間に遅れたと言って叱られるし、散々だ。
なんていうか………ものすごくふりまわされてる。
私はため息を必死にのみこみながら、目の前に並べられたカラフルなスペイン料理を次々に口に運んだ。
喜多嶋さんはそう言って、海老のアヒージョを美味しそうに頬ばった。
マイペースなひとだ。
そういえば、今日のこの約束をとりつけてきたときも、すごくマイペースだった。
朝、出社してすぐに私の首根っこをつかみ、休憩室まで強制連行して、
『今晩、空いてるか? じゃ、メシ食いに行くぞ』
と一方的に言ってきたのだ。
たしかに夜に予定はなかったけど、いきなり夕食に誘われたって、困る。
こっちにも心の準備ってものがあるのだ。
でも、喜多嶋さんの言葉に逆らえるはずもなく、私は二つ返事で了承して、大慌てで仕事を終わらせて、
喜多嶋さんが指定してきたこの店にやって来たのだった。
それなのに、時間に遅れたと言って叱られるし、散々だ。
なんていうか………ものすごくふりまわされてる。
私はため息を必死にのみこみながら、目の前に並べられたカラフルなスペイン料理を次々に口に運んだ。