29歳、処女。
「アホ? なんでですか」


「だって、女としての魅力がないとか、色気がないとか………うける」



意味がわからない。


だって、当たり前の考えじゃない?


雑誌とかネットの質問サイトとかでも、旦那から女として見られなくなって………みたいなものをよく読む。

だから私もそういう部分で不足があるのだと考えるのが、自然な流れだと思うんだけど。



「あのさあ、よく女がそういうこと言ってるけど。それ、女の勘違いだよ。もしくは、男の言い訳」



喜多嶋さんが人差し指を立てて、びしりと私に向けてきた。



「え?」


「だってお前、そのへん見てみろよ。化粧もしてない眉毛も髪もぼさぼさ、色気のかけらもないような田舎くさい女だって、結婚して子ども産んでたりするだろうが」


「はっ?」



あまりにも失礼な発言すぎて、私は呆然と口を開いたまま、二の句をつげない。


どうしたらここまで傍若無人になれるんだろう。



「つまりさ、あれだよ。どんなに野暮ったくて、はた目には色気も魅力も皆無な女だろうと、そいつを好きになって欲情する男はいるってことだ」


「はあ………」


「蓼食う虫も好き好きって言うじゃないか。好みは人それぞれなんだよ」



やっぱり、かなり失礼なことを言っている気がする。


ひどい。ひどすぎる。女の敵だ。



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