29歳、処女。
………どうしてだろう。
言いたいことは山ほどあるのに、なぜだか、声が出せない。
「せっかく多少は色気のあるカッコしても、中身がガキんちょじゃなあ」
からかうように笑う喜多嶋さんの声が、その吐息が、
私の頬に、首筋にかかる。
「このへんなんかも、けっこう色っぽいのに、残念………」
喜多嶋さんの指が、私の鎖骨をするりとなぞった。
私はやっぱり何も言えない。
耳の中で、どくんどくんと脈打つ音が響き渡って、喜多嶋さんの言葉がよく聞こえなくなってくる。
………そうか。
わかった。
なんで声が出ないのか。
鼓動が早すぎて、息が苦しいくらいで、私はもう、しゃべることすらできないのだ。
そう気がついたとき。
「………おい、雛子? 大丈夫か?」
「………」
「雛子、どうし―――」
気がついたときには、私の身体は床に向かってぐらりと傾ぎはじめていた。
言いたいことは山ほどあるのに、なぜだか、声が出せない。
「せっかく多少は色気のあるカッコしても、中身がガキんちょじゃなあ」
からかうように笑う喜多嶋さんの声が、その吐息が、
私の頬に、首筋にかかる。
「このへんなんかも、けっこう色っぽいのに、残念………」
喜多嶋さんの指が、私の鎖骨をするりとなぞった。
私はやっぱり何も言えない。
耳の中で、どくんどくんと脈打つ音が響き渡って、喜多嶋さんの言葉がよく聞こえなくなってくる。
………そうか。
わかった。
なんで声が出ないのか。
鼓動が早すぎて、息が苦しいくらいで、私はもう、しゃべることすらできないのだ。
そう気がついたとき。
「………おい、雛子? 大丈夫か?」
「………」
「雛子、どうし―――」
気がついたときには、私の身体は床に向かってぐらりと傾ぎはじめていた。