29歳、処女。
LESSON 3
LESSON 3
Hair Style
*
ふんわりと甘くて優しい香りが鼻腔をくすぐり、私はふっと瞼を開いた。
ぼやけた視界が少しずつ焦点を結んでいく。
しばらくして見えてきたのは、白い天井。
それから、風に揺れるカーテン。
「もう朝か………」
呟いて何度か瞬きをしてから、あることに気がついて、私は慌ててがばっと起き上がった。
ここは、私の部屋じゃない。
見たこともない家具ばかりの、知らない部屋だ。
しかも、今は朝でもない。
窓の外の陽射しに少しオレンジ色が混じっているから、たぶん夕方に近い時間帯。
寝ぼけた頭を最大限フル回転させて、現状を把握しようと試みる。
私は今、簡素なシングルベッドに寝ている。
シンプルな無地の青いカバーがついた、ふかふかの羽毛布団。
清潔な白いシーツ。
床はダークブラウンのフローリングで、窓にはコバルトブルーのカーテン。
窓辺には観葉植物の鉢。
ベッドの対角線上にデスクが一つあって、その上にはノートパソコンが一台。
デスクの左側に出入り口のドアがあって、細く開いている。
その隙間から、カチャカチャと食器の触れあう音と、さっき嗅いだ甘い香り。
「………ここ、どこ?」
とにかく、どう考えても、知らない部屋だ。
Hair Style
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ふんわりと甘くて優しい香りが鼻腔をくすぐり、私はふっと瞼を開いた。
ぼやけた視界が少しずつ焦点を結んでいく。
しばらくして見えてきたのは、白い天井。
それから、風に揺れるカーテン。
「もう朝か………」
呟いて何度か瞬きをしてから、あることに気がついて、私は慌ててがばっと起き上がった。
ここは、私の部屋じゃない。
見たこともない家具ばかりの、知らない部屋だ。
しかも、今は朝でもない。
窓の外の陽射しに少しオレンジ色が混じっているから、たぶん夕方に近い時間帯。
寝ぼけた頭を最大限フル回転させて、現状を把握しようと試みる。
私は今、簡素なシングルベッドに寝ている。
シンプルな無地の青いカバーがついた、ふかふかの羽毛布団。
清潔な白いシーツ。
床はダークブラウンのフローリングで、窓にはコバルトブルーのカーテン。
窓辺には観葉植物の鉢。
ベッドの対角線上にデスクが一つあって、その上にはノートパソコンが一台。
デスクの左側に出入り口のドアがあって、細く開いている。
その隙間から、カチャカチャと食器の触れあう音と、さっき嗅いだ甘い香り。
「………ここ、どこ?」
とにかく、どう考えても、知らない部屋だ。