29歳、処女。
LESSON 4
LESSON 4
Test
*
それからも喜多嶋さんの特別レッスンは続いた。
仕事終わりに唐突に食事に誘われたり、休みの日に急に呼び出されたり。
と言っても、何かを教えてもらうというよりは、一緒にご飯を食べたりお酒を飲んだりするだけなんだけど。
「もう、いつも呼び出しが急すぎますよ」
会社から駅ひとつ分離れたところにある大衆居酒屋で、私は向かいに座った喜多嶋さんに文句を言ってみる。
「抜き打ちテストだよ」
喜多嶋さんは悪びれもせずに砂肝を噛みながら言った。
「テストって、何のですか」
「俺の言いつけをちゃんと守ってるか、定期的に確認しないとな」
喜多嶋さんがにやりと笑って顔を少し近づけてくる。
どきりとして思わず肩が震えた。
「………で、テストの結果は?」
自分の心臓の音がうるさかったけど、なんでもないふうを必死に装って、そう訊ね返した。
喜多嶋さんはにんまりと笑って、
「ま、70点てとこかな」
「ええ? 70って………中途半端な。髪も服も、けっこう頑張ってるつもりなんですけど」
喜多嶋さんの顔が近すぎるので、少し上半身を反らしながら答えた。
「たしかに髪と服は前よりだいぶ良い。が、まだなんか固いんだよな」
「固い、ですか」
「ああ、固い」
「………これ以上どこをどうすれば」
「そうだなあ………」
Test
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それからも喜多嶋さんの特別レッスンは続いた。
仕事終わりに唐突に食事に誘われたり、休みの日に急に呼び出されたり。
と言っても、何かを教えてもらうというよりは、一緒にご飯を食べたりお酒を飲んだりするだけなんだけど。
「もう、いつも呼び出しが急すぎますよ」
会社から駅ひとつ分離れたところにある大衆居酒屋で、私は向かいに座った喜多嶋さんに文句を言ってみる。
「抜き打ちテストだよ」
喜多嶋さんは悪びれもせずに砂肝を噛みながら言った。
「テストって、何のですか」
「俺の言いつけをちゃんと守ってるか、定期的に確認しないとな」
喜多嶋さんがにやりと笑って顔を少し近づけてくる。
どきりとして思わず肩が震えた。
「………で、テストの結果は?」
自分の心臓の音がうるさかったけど、なんでもないふうを必死に装って、そう訊ね返した。
喜多嶋さんはにんまりと笑って、
「ま、70点てとこかな」
「ええ? 70って………中途半端な。髪も服も、けっこう頑張ってるつもりなんですけど」
喜多嶋さんの顔が近すぎるので、少し上半身を反らしながら答えた。
「たしかに髪と服は前よりだいぶ良い。が、まだなんか固いんだよな」
「固い、ですか」
「ああ、固い」
「………これ以上どこをどうすれば」
「そうだなあ………」