世界が止まる1分間
学校から距離にしてわずか300m。
短いその距離が、さらに短く思えるほど、踏み出す一歩が貴重に思えた。
ついに駅が見えてきて、雪奈さんは「ここでいいよ」と手を振って別れたのだけど、振り返って歩き出した僕の名前を呼んだ。
「何?」
雪奈さんは僕の目をまっすぐ見つめながら言った。
「___え?」
その瞬間、雑踏の音は消えた。
申し訳なさそうな顔で雪奈さんは駅に向かって歩き出す。
ただ僕はそれを見ていることしかできなくて、ただ頭の中で最後の言葉を反芻していた。
『今日、転校するの』
神様は、残酷だ。
*
次の日、僕は重い足取りで教室の戸を開けた。
今日から学校に雪奈さんはいない。僕は想いを告げることもできなかったのだ。
けれど僕の目に映ったのは、友達と楽しそうに話す雪奈さんの笑顔だった。
なぜ、どうして?この学校に通うのは、昨日が最後だったはずなのに。
短いその距離が、さらに短く思えるほど、踏み出す一歩が貴重に思えた。
ついに駅が見えてきて、雪奈さんは「ここでいいよ」と手を振って別れたのだけど、振り返って歩き出した僕の名前を呼んだ。
「何?」
雪奈さんは僕の目をまっすぐ見つめながら言った。
「___え?」
その瞬間、雑踏の音は消えた。
申し訳なさそうな顔で雪奈さんは駅に向かって歩き出す。
ただ僕はそれを見ていることしかできなくて、ただ頭の中で最後の言葉を反芻していた。
『今日、転校するの』
神様は、残酷だ。
*
次の日、僕は重い足取りで教室の戸を開けた。
今日から学校に雪奈さんはいない。僕は想いを告げることもできなかったのだ。
けれど僕の目に映ったのは、友達と楽しそうに話す雪奈さんの笑顔だった。
なぜ、どうして?この学校に通うのは、昨日が最後だったはずなのに。