私の恋した0.1秒


「姫ちゃんのお腹は正直みたいだね?」



クスクス笑う柳田さんに、私はムッとする。



そんな私はよそに、もう一口スプーンにすくう柳田さん。



また食べるところを見せつけようとしているんだ。



いっそのこと見ないでやろうと顔をそらす。



「姫ちゃん、こっち向いて?」



「嫌です。」



柳田さんの意地悪。



私をそんなに弄って楽しいか。



「姫ちゃん、髪の毛にゴミが…」



「へっ?」



「ふっ」



「はふっ!?」



まんまと騙された……



口の中に広がる甘い桃の香りと柔らかいチーズの味。



甘ったるくもなく甘すぎない程よい甘さのこれは、頬が落ちそうなくらい美味しかった。



「…美味しいっ」



それは不機嫌だった私を、一瞬にして笑顔に変えてしまうくらい。

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