私の恋した0.1秒


「ご注文は?」



私がぼーっと景色を見ていると、すっとカウンターテーブルの上にコースターが差し出された。



この声の主はあのイケメンアルバイト店員。



「あ、えっと」



「いつものカフェラテ?」



「そう、それお願いします。」



私はここの常連で、来た時に頼むものはいつも同じ。



だから、覚えられても無理はない。



けれど、こうやって注文を先に言われたのは初めてで、ドキッとした。



そんな私とは裏腹に、綺麗な笑顔を私に向けるイケメンアルバイト店員。



別にこの笑顔が私だけに向けられているわけじゃなくて、この人は全ての人に対して同じ対応をする。



店長にも同じ店員にもお客さんにも……



イケメンというだけあって、美味しいコーヒーやスイーツが目当てというだけではなく、このイケメンアルバイト店員が目当てで足を運んでくる人も多い。



そんな人から好意の目で見られていたとしても、その笑顔は変わらない。



それが彼の好かれる点なのかもしれない。


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