私の恋した0.1秒
────────────
───────
しばらくして、カフェラテと桃のレアチーズケーキが運ばれてきた。
それは、2つ席を空けて隣の人の元に。
──私じゃなかった。
そもそも頼んでいるはずもない桃のレアチーズケーキが運ばれてくるなんてありえない話。
私は何を期待したのか。
少し席が離れているというのに、美味しそうな匂いだけはしっかりと漂ってくる。
お昼ご飯はしっかり食べたはずだけど、お腹かグゥ~っと鳴ってしまいそうなくらい。
イケメンアルバイト店員は1度厨房に戻り、カフェラテを片手にこちらへ向かってきた。
あれこそ私のカフェラテに違いない。
間違いなく1点だけ注文したカフェラテ。
「お待たせいたしました」
カチャンとかすかな音を立ててコースターの上に置かれたカフェラテ。
カップから立ちのぼる湯気は、カフェラテのいい香りを乗せてやってくる。
うん、早く飲みたい。
イケメンアルバイト店員が私の前から去るやいなや、カップを手に取り少し啜る。
啜るというのも、私は猫舌ですぐに飲むことが出来ない。
だからこうしてゆっくり飲んで楽しむ。