私の恋した0.1秒
「ねぇ、名前、なんて言うの?」
「はい?」
きっと私の顔はマヌケヅラだろう。
だって、あのイケメンアルバイト店員がいきなり私の目の前に来て、そう私に問うたんだから。
「…ナンパですか?」
一番にそう考えるのが一般的だろう。
これは確認だけど私はナンパされるほどいい顔立ちではない。
ただ、現に今そのような状態にあるわけだけれど。
「うーん、簡単に言えばそんなところかな?」
無邪気に爽やかな笑顔を浮かべる彼は、なんだか憎めない。
「私、そういうの興味ないんで…」
恋には無関心。
例えこんなイケメンに声をかけられても興味がわかない。
これだから私には彼氏というものがいないのかもしれないけど。
「そういう事言わないで?まずは僕から自己紹介しないとね。
カフェ・ボヌールでアルバイトしている柳田悠真(やなぎだ ゆうま)。大学3年。よろしくね?」
爽やかスマイルでサラリと自己紹介をした彼、柳田さん。
別によろしくするつもりもないけれど…
「よろしくお願いします、柳田さん」
礼儀程度に返しておいた。