私の恋した0.1秒
「それなら尚更奥で休憩したらどうです?」
「ははっ、本当にガード硬いんだね?参ったよ」
なんて言いながら、また爽やかな笑顔でふわりと笑う。
そんな柳田さんの笑顔にどきりと胸が鳴る。
私は咄嗟に柳田さんから目をそらした。
「名前だけでいいから、お願いっ」
柳田さんは想像以上にしつこい。
このままだとずっと私の前から離れなさそうで、柳田さんの必死さに負けてしまった私は諦めた。
「天瀬姫乃(あませ ひめの)です」
──名前くらい、減るもんじゃないし。
名前を教えると、よっぽど嬉しかったのか柳田さんはとても嬉しそうな顔をした。
私の名前なんて聞いたってなにもないのに。
「姫ちゃんね?改めてよろしく」
「ひ、姫ちゃん!?」
驚いた。
だって、いきなりそうな風に呼ばれるなんて思ってもいなかったから。
危なく手に持っていたカフェラテのカップを落としてしまうところだった。
「うん、だって姫乃ちゃんだから、姫ちゃん。可愛いでしょ?」
確かに響きは可愛い、かも知れないけど。
「私、そんなキャラじゃないんで…」