逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
白いテーブルに肘をつき、物憂げに窓の外を眺めている十代の母は、娘の沙耶の目から見てもプリンセスそのものだった。
(でも死んだらお母さんに会える……。)
普段ならそんなことを考える沙耶ではない。
ただ、沙耶は今ひどく疲れていて、ホットミルク程度ではとても浮上できそうになく、気を緩めるとまたずるずると転がり落ちて這い上がれないような気分だった。
ピンポーン……。
突然インターホンが鳴った。
いつもならほぼ出たりしないが、もしかしたら社長かもしれないと、沙耶は考えた。
仕事を放棄して逃げ帰ったのだから、ソルシエールに連絡があって当然なのである。
音を立てないように、ドアの覗き窓に近づいて訪問者を確認する。
伊織ならすぐに開けるつもりだった。
「あっ……」
だが違っていた。そこに立っていたのは、なんと基だった。
(なんで、どうして!?)