逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「まぁ……問題ないよな」
あっけらかんとした基だが、
「あるわよ!」
沙耶は一層顔を赤くして叫び、そのまま布団にもぐり込んでしまった。
「沙耶?」
「知りませんっ!」
その反応は、本気で怒っているというよりも、照れ隠しのようなそんな雰囲気である。
「……もしかして、照れてるのか」
何気に尋ねてみれば、山のように丸まった布団が、大げさにビクッと揺れる。
図星らしい。
その反応に、基はつい、クスクスと笑ってしまった。
そしておそらくこの辺が沙耶の顔だろうと目星をつけて、顔を近づける。
「沙耶、俺は二度と嘘を口にしない。君の気をひくために、君を傷つけたりしない。誠実であると、誓う」
沙耶にとってはどうでもいい話かもしれない。けれど基は約束したかったのだ。
自分の心に突如咲いた、一輪の花のような沙耶に。
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