逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
(これはきっとあれだ。お子様の面倒をみているような、そんな感じなのよね。そうそう、きっとそう!)
そうやってなんとか自分を納得させようとしていた沙耶だが、基は急に改まったように姿勢を正し、はっきりとした口調で
「昨日は言ってなかったが、ソルシエールのほうは問題ない。明日からまた普通に出勤できる」
と、口にした。
「え?」
「昨日は俺がオプションで仕事を頼んで遅くなったから、直帰ということにしてる」
「……なんで、そんな……」
仕事を放棄したにも関わらず、そんなことになっているとは思わなかった。
「当然だろう。迷惑をかけたのは俺だから」
そして基はスプーンを置き、まっすぐに沙耶を見つめた。
「沙耶、君はソルシエールで働くのが好きなんだな」
「うん」
「だったら、このまま続けてくれたらと思っている。そしてできれば、常務室にも来て欲しい」