逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「俺に気を使って何も言わないのか?」
「……わからない」
「わからない?」
「うん」


 沙耶もスプーンを置き、基を見つめ返した。


「あなたがその……私のことを、えっと……」
「好きだよ、沙耶」
「なっ……そういうの、急に言わないで、ビックリするでしょ!」


 好きと言われるたびに心臓が跳ね上がる。
 体に悪いことこの上ない。

 だが基はああ、と納得したように目を細め微笑む。


「なんとなくわかった。沙耶は怒ってるんじゃなくて、照れ屋なんだな」
「うっ……」


(そんなことに気づいてほしくなかった……。)



< 154 / 322 >

この作品をシェア

pagetop