逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「私は……」


 すぐに言葉が出ない。


「ちなみに俺は図々しくて子供っぽいから、こうやって俺に触れられてる沙耶が逃げないだけで、かなり、調子に乗ってるし、浮かれてる」
「もしかして……根に持ってるの?」


 沙耶に何度も言われた「子供っぽい」を、口にする基に、沙耶は眼を丸くする。すると基は、小さく頷いた。


「持ってる」
「持ってるんだ」


 沙耶がクスリと笑うと、基は嬉しそうに、とろけるような声で囁いた。


「だけど話を聞いてよかった。余計惚れ直した……。俺の沙耶はすごいな」


 そう言う基の目に、声に、沙耶はなんの違和感も持たなかった。
 本気でそう思っているのだと伝わってきて、沙耶は泣きそうになりながら笑った。


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