逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
昨晩は両親の目を盗み、最近ちょくちょく行われている、基に女性をあてがおうとするのが見え見えのパーティーを抜け、会いに行った。
アパートのそばでしばらく待っていたら、沙耶と美鶴がタクシーから降りてきて、熱っぽく見つめあい、抱き合って頬にキスまでしたのである。
それを見て五寸釘を胸に打ち込まれたかのように、基はショックを受けた。
美鶴が沙耶を気に入っているのはもちろん知っていたが、沙耶が美鶴に振り向くことは想定していなかった。
実に図々しいが、自分の方が美鶴より沙耶の心の近い場所にいると、思い込んでいたのである。
だが、基に泣いて謝る沙耶を見て、自分が好きにならなければこんな風に泣かせることはなかったのだと、情けなく、申し訳なく思った基は、その場から逃げて帰ったのだ。