逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
沙耶。沙耶。沙耶が好きだ。
いつになったら、沙耶のことを忘れられるようになるのだろう。
そんな日が来るとは思えないが、沙耶のためにも早くこの気持ちを消さなければいけない……。
事務処理を終えた神尾が、立ち上がりソファーまでやってくる。
「基様、お顔の色があまり……いや、かなり、冗談抜きで良くないですね。病院の予約をしましょうか」
「いや、いい……少し休めば良くなる」
基はまたソファーにごろりと横たわると、目を閉じる。
(そうだ。今の痛みはいずれ時間が解決してくれる……。)
「わかりました。あまり辛いようでしたら言ってください。手配をしますので」
「ああ」
パタンとドアが閉じ、神尾は出て行った。
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