逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

(神尾さん、とても鋭い人だから、困る……。)


 どうしようと考えていた沙耶だが、神尾が先手を打った。


「出過ぎたことを言いましたね。申し訳ありません」
「いえ……」
「でも、こんな機会はないでしょうから、出過ぎたついでにお話ししておきたいことがあります」
「……なんでしょうか」


 にこやかな笑顔を浮かべたままだが、神尾の雰囲気がガラリと変わった。


「昨日は基様の誕生日から数えて十回目のパーティでした。表向きは、異種業者懇親会ですが、内情は基様のお見合いです」
「お見合い……」


 沙耶の顔がすうっと青ざめた。

 自分が知らない間に、基はたくさんの、彼に相応しい女性と出会っているのだ。


 想像しただけで、鼻がツンとして、目の奥が熱くなる。



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