逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「基っ……オマエというやつはっ……」
「一応言っておくが、好きなのはずっと俺ばかりだ。でも諦められない。愚かだと笑うか?」
母親譲りの灰色の瞳が、強い光を放つ。
その目が自分は愚かではないと宣言していた。
「基様!」
そこに飛び込んできたのは神尾である。
「あっ、社長っ……!」
神尾が片手で顔を覆い、盛大なため息をつく。彼にはまるでこの光景が予測できていたかのようだ。
「基様、やっちゃいましたね」
「すまんな、湊。ちなみにたった今勘当されたところだ」
基の言葉に、神尾は目を丸くする。
「……そうか。じゃあお前はもう俺の上司じゃないってことか」
「そうなる」
そして基は、呆然と立ち尽くしている沙耶の手をつかんだ。