逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「沙耶まで何でって聞くのか。言っただろう。俺は二度と嘘を口にしない。君を傷つけたりしないって」


 基の言葉に、沙耶はハッと思い出した。


(そうだ。確かに基は私の部屋で、そんなことを言った……。)


 基の告白を聞き、恥ずかしくなり毛布を被った沙耶に、基は心を込めて言ったのだ。


『俺は二度と嘘を口にしない。君の気をひくために、君を傷つけたりしない。誠実であると、誓う』


 けれどそれがこんな形で返ってくると、誰が思っただろう?


 激しい混乱の中、沙耶は繋いだ手を見つめ、それから基を見上げる。


「ん?」


 寝ている時は青ざめていた基の表情は、妙に晴れ晴れしていた。心なしか顔色も良くなっているようだ。


< 240 / 322 >

この作品をシェア

pagetop