逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「沙耶まで何でって聞くのか。言っただろう。俺は二度と嘘を口にしない。君を傷つけたりしないって」
基の言葉に、沙耶はハッと思い出した。
(そうだ。確かに基は私の部屋で、そんなことを言った……。)
基の告白を聞き、恥ずかしくなり毛布を被った沙耶に、基は心を込めて言ったのだ。
『俺は二度と嘘を口にしない。君の気をひくために、君を傷つけたりしない。誠実であると、誓う』
けれどそれがこんな形で返ってくると、誰が思っただろう?
激しい混乱の中、沙耶は繋いだ手を見つめ、それから基を見上げる。
「ん?」
寝ている時は青ざめていた基の表情は、妙に晴れ晴れしていた。心なしか顔色も良くなっているようだ。