逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
愛の翼
神尾がたまに仕事で使うというレクサスの助手席に乗りこむと同時に、運転席の基が顔を近づけてきた。
「沙耶、昨日ほとんど寝てないんだろう。疲れた顔してる」
「それを言うなら基だって……」
「俺は全然平気。ビックリするくらい元気になった。きっと沙耶のおかげだな」
屈託のないキラキラとした笑顔で言われて、沙耶の頰が朱に染まった。
「首都高に乗ったら一時間強で着くから、少し目を閉じているといい」
「首都高?」
てっきり基か自分の部屋に行くと思っていた沙耶は、驚き首を傾げたが、どこに行くのかと改めて尋ねることはしなかった。
(基を信じよう。彼が行こうという道の先を信じよう。)