逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「基のそういうところ……んっ」


 笑顔の沙耶の唇の上に、基の唇が重なる。
 唇の上で、チュッ、チュッと何度もリップ音が鳴り、それから唇が吸われる。

 離れたと思った瞬間、基が沙耶の耳元で低く、甘く、ささやく。


「基のそういう、なに? 続き、言ってくれよ、沙耶」
「だから、す、好きって、ん、んんっ……」


 好きという言葉すら、満足に言わせてもらえない。

 いや、自分が基に対して発した言葉尻から、食べられているような気がした。


 唇を吸われ、舐められ、噛まれて、沙耶が身じろぎすると、基の手がなだめるように体の上を撫でて、それからギュッと手を握られる。

 こんなキスは初めてだった。

 狭い車のシートの上できつく抱きしめられて、心が焼けそうになる。


「沙耶、愛してる……」



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