逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「では準備をしなければ」
神尾は運転手に銀座に向かうよう告げる。
そして沙耶は呑気に、神尾の後をついて銀座に店舗を構える高級メゾンに入っていき、
「あれ、女性ものですね? 神尾さんは上の階ではないですか?」
と、周囲を見回し、それからずらりと並べられている衣装の前に立っている二人を見て、思わず時と場所を忘れて叫んでいた。
「社長に、潤くん!?」
そう、ドレスを前に、あーでもないこーでもないと選んでいたのは、懐かしい二人だったのだ。
「あっ、沙耶ちゃーん! 会いたかったよー!!!」
「久しぶりだね、沙耶」
「わーい!」と叫びながら抱きつく潤をなんとか受け止め、沙耶は呆然と神尾を振り返る。