逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「か、神尾さん、これは!?」
「……私はドレスのことをよく知らないので、お二人にお願いしました。貸切にしてますのでご安心を」


 メガネを指で持ち上げながら、神尾は真顔でそう答える。


「いやご安心って、でも、私ドレスなんか必要ないですよ? このスーツで問題ないですよ!」
「そういうわけにはいきません。まがりなりにもパーティーですからね。さぁ、伊織さんに阿部くん。あとは頼みましたよ」


 そして神尾は「忙しい、忙しい……」と言いながら、ブティックから出て行ってしまった。


(そんなに忙しいなら、もっと早く言ってくれれば、私も準備のお手伝いをできたのに……。)


 新米秘書としてあまり頼りにならないのかもしれないが、ちょっぴり残念な気持ちになる沙耶であった。


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