逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
伊織と潤の見立ては、背中が大きく開いたエレガントなロングドレスだった。
カラーは光沢のあるグレーで、靴はマノロ・ブラニクである。
「付き合いにしてはちょっと目立ちすぎでは……」
「いーや、そんなことない。これでバッチリだよ。世界一綺麗だ」
真面目な顔をして、潤は首を振る。
「ああ。また綺麗になったね、沙耶」
「もう、お二人ともやめてください」
恐縮する沙耶だが、それからさらに、伊織と潤の手によって髪やメイクを直されて、あれよあれよと、ブティックの前に待ち構えていたハイヤーに押し込まれてしまった。
「またあとでねー」
「え?」
「胸を張って歩くんだよ!」
ニコニコ顔で手を振る潤と伊織に、沙耶は首をかしげる。