逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
そしてドアが開く。
裾を踏まないようエレベーターから降りて、沙耶は神尾の姿を探し、そこで信じられないものを発見した。
「……沙耶」
出会った頃より、少し髪が伸びていた。
「ああ……夢みたいに綺麗だ」
自分に向かって差しのべられる手は相変わらず大きくて。
けれどその甘く華やかな顔立ちは、研ぎ澄まされ、精悍さを増していた。
「もと、い……」
嘘だ。信じられない。どうしてここに基がいるのだ。
とうとう基のことを思いすぎて頭がおかしくなったのかと、沙耶は本気で怯えた。
「どうしよう、基の幻が見えてる!」