逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 馬鹿馬鹿しいことこの上ないが、つい売りことばに買いことばで言い返していた。


(ああ、なんてくだらない……。)


 そうやって散々つまらないやりとりを散々した後、顔を見合わせ、湊と基はケラケラと声をあげて笑う。


「子供がうまれるまで、きっと大騒ぎだな。いや、生まれた後も数年はうるさそうだ」
「その自覚はある。まあ、付き合えよ」


 肩をすくめる基に、湊は微笑みを浮かべうなずいた。


 そうだ。きっと十年、二十年経っても、この関係は変わらないだろう。

 だがそんな日常も悪くない。


 そう思うのは自分の性分であり、そして基という男の魅力なのかもしれない。


(認めたくはないがな。)



【番外編】神尾湊の日常・完結



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