逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「すごい……」
「なかなかいいじゃないか。あんたやっぱバレエやってるだけあって背中きれいだねぇ」
「それは昔の話で、いまはストレッチをかかさずやってるだけで昔のようには踊れませんよ……ってきゃあっ!」


 伊織がうっとりしながら、背中をツーッと指で撫でたのだ。


「もう、やめてくださいっ!」
「ふふっ。悪いね、つい」


 伊織はニンマリ笑うと、ドレス姿の沙耶を上から下まで見つめる。


「うん、完璧だ。靴もね、わたしとサイズが同じだったよ。履いてないのがあるからそれでいいね。マノロ・ブラニクの七センチヒールだよ。踊れるし、全力疾走もできる。最高級の一品さ。ふふっ」
「そんな高級品で踊りも全力疾走もしませんよ」


 沙耶は苦笑しながら、伊織を見つめる。




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