逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
華やかな甘さと男らしい精悍さをブレンドし、さらにそこにほんの少しの子供っぽさを加えた、誰が見ても心惹かれるような美しさを持っている。
化粧品という美と健康を追求する企業の御曹司に生まれた運命か、立っているだけで絵になるよう、神様に設計されたのだとしか思えない恵まれた容姿の持ち主だった。
もちろん中身も幼い頃から徹底的に帝王学を叩き込まれており、名門私立大学を首席で卒業し、その後留学。日本に帰国したのは今から五年前のことだった。
当然女性にモテる。
誰にでも声をかけるため、軽薄な女好きと陰口を叩かれることもあるが、基自身はそれを全く気にしていない。
独身の男が女が好きで悪いかと、開き直る始末である。
そのため彼の秘書は女性ではなく、入社してからずっと幼なじみである神尾が勤めているのだ。
「基様、少しお顔の色が悪いようですね」
「ん……? ああ、そうだな。いつもの頭痛だ。後で薬を飲んでおく」