逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
シンデレラは不敵に踊る
天空の間と呼ばれるそのフロアは、室内管弦楽団とピアノの音色、そして人々の歓談する声でたいそう賑わっていた。
だが、この場の主役であるはずの基は退屈していた。
顔はもちろん笑顔を作ってはいるが、その心はおそろしく冷めていた。
「はい、ありがとうございます。精進いたします。……ええ、おそれいります」
(俺は「おそれいりますマシーン」かよ。どんだけおそれいらなくちゃいけないんだよ。)
都内の外資系ホテルのフロアを借り切って行われている誕生パーティーの招待客は、三百人を優に超えている。
その招待客が列をなして基の前に来るのだ。
いい加減挨拶のバリエーションもそこをついてくる。