逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「なんだよ、基。彼女の正体を知っているなら俺たちに是非紹介してくれ」
「どれだけ聞いても名前一つ教えてくれないんだ」


 明治の元勲の子孫たちは、名を喜多原(きたはら)というのだが、立ち尽くす基の両端に立って、肩を抱いた。

 一見冗談ぽく見せているが、幼なじみだからわかる。彼らは本気だ。


「いや、だから……」


 なんということだろう。
 基がいたずら心半分で渡した招待状を携えて、その身一つで沙耶がやってきたのだ。

 紹介しろ紹介しろとうるさい喜多原たちをなだめていると、今度はいつまでも戻ってこない基の追っかけたちがぞろぞろと移動してきた。

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