逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「あら、こちらの方はどなた?」
「見ない顔ね」
(次から次に!)
怒鳴りたい気分だが、ぐっと笑顔でそれを抑える。
彼女たちにとって、年頃の女は全てライバルなのである。
その視線を受けて沙耶は一瞬目を丸くしたが、やんわりと微笑んで何も口にはしなかった。
当然だろう。沙耶は基の悪趣味に付き合わされただけだと理解しているが、これはただの意趣返し。基に大きな迷惑をかけるつもりはもともとないのだ。
だがその謎めいた態度が彼女たちの闘争心に火をつけた。
「手ぶらなの?」
「信じられないわ。いったいなんのつもりで来られたのかしら」
「おめでとうって、言いましたよ」
沙耶は相変わらず穏やかに返す。だがそんな言葉が受け入れられるはずもない。