逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
美鶴と沙耶は、目の前のコンビニでコーヒーを買い、ベンチに並んで腰を下ろした。
今日は特別天気がよかったせいか、日が落ちる前とはいえ随分暖かかった。
「そういえば喜多島さんが乗っていた車はいいんですか? お仕事中だったのでは?」
「上司のお供だったけれど、降りたいと言って降ろしてもらったんだ。問題ないよ」
「そんなことして大丈夫なんですか?」
どう考えても上司のお供のほうが大事である。
けれど美鶴はいたずらっ子のように肩をすくめてうなずく。
「大丈夫。まぁ戻ったら面白がってあれこれ言われそうだけどね」
そして美鶴は沙耶の個人情報を聞くことなく、主に自分の話をした。
両親と妹が英国にいること、パーティのときに一緒にいたのは従兄弟であること……。
そして基とは幼稚園から中学までの同級生だということ。美鶴は高校から両親仕事の都合で英国に引っ越したらしい。